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  • 2013.12.20 Friday
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我が、蹉跌のオーディオファイル #31.続EQアンプ

                続EQアンプ

前回のパスコンの話を、この回路を教えてくれた某氏に云ったら、案の定笑われた。
「それは駄目なんだ。パスコンを付けると高音が出なくなる」と言うのである。
居合わせたマニアの親父某は何も言わなかったが、横で若干嘲笑気味の薄笑いを浮かべている。
考えるまでも無く、理論的にはこちらが間違っているに決まっている。天下のアンペックスが、こんな初歩的な間違いを犯すはずは無いのである。
が、そんな事なら承知しているのだから、正解を指摘されたからと言って僕の意見は変わらない。
パスコンを付けないと、弦楽器(特にヴァイオリン)が綺麗に聴こえない。
高音が出過ぎるのか、飴色の優美な木の胴と4本の弦が織りなす、あの美音がちっとも聞こえてこず、錆びた鉄の弦を鑢で擦った様な音、とまで言うのは酷過ぎるにしても、ややもするとそれに近い鳴り方をして、決して美しい音とは云えないところが随所に聴こえる。
前回も言ったが、この回路は、寧ろジャズの様な音楽に打ってつけで、ドラムの表面を鉄箒で掻き廻す音など真に臨場感満点であり、パスコンを付けると、途端にこの雰囲気は掻き消える。
某氏は続けて「理論的に言うと、こうだ」と説明してくれたが、馬の耳に念仏である。元来、この手の理屈は理解不能であるし、あまり重要視していない。
「そう云ったって、高音が穢きゃ意味無かろう」と反論すると、某氏は「うーん」と唸って何も言わなかったが、横合いから「日本人は高音のキツイの嫌うからな」と親父某、今度はあからさまな嘲笑を浮かべている。
「日本人は・・・」と言うところが気に食わない。「日本人離れした・・・」とか、何かと西洋人と比べて日本人は如何か、といったもの云いをしたがる傾向があるが、戦後68年も経って、まだ青い眼コンプレックスが抜け切らんと見える。困ったものである。
どうあれ、音の感性の違いは線路みたいなもので何処まで行っても交わる事は無いので論争自体が不毛だから、この言は無視した。元より理論的にはこちらが間違っているのだから喧嘩にもならない。
親父(と言ったって、僕よりは大分若輩と見たが)の話は兎も角、この回路は一つの極みであるかもしれない。
確かにクラシックよりはジャズ向きの音だが、どういう訳か、事ピアノに関しては抜群の性能を発揮する。無論パスコンなしの原回路が、である。
今迄、こうやって色々とEQアンプを弄り回して来て、出た結論の一つは、弦が綺麗に出るとピアノが今ひとつ冴えず、ピアノが綺麗に出ると弦が荒れる。どうもピアノと弦の音は両極にあって、音の性質がかなり違うのではないかという事である。
この双方を理想的に再生できたEQアンプは、僕の知る限りRA1474が唯一である。
そして、ピアノ再生に限って言うなら、アンペックスEQはRA1474に匹敵する。
双方、異質な音ながら、甲乙つけがたい美音である。
余談ながら、RA1474の音は、TRIADのトランスHS-1とHS-52を使って初めて1474の音になる。規格が同じでも、他のトランスでは決して1474の音にはならない。
この事は、他のアンプにも云える事で、例えばマランツ7の回路でアンプを組んでも、マランツ7の音にはならない。このアンプには、御承知の通り、バンブルビーなどがふんだんに使われており、言うまでも無く、今ではバンブルビーの入手は困難であり、且つ入手できても容量抜けしていたり、まともな物が揃わないから、完璧にオリジナルの音を再現する事は、不可能と云っても良いだろう。
要するに、マランツ7にしてもマッキンC22にしても、発売当時各部に選定されていた部品は、伊達ではなくて、それで音を造っているのだから、類似品を選んだとしても、部品に違う物を使えば、音が変わってしまうのは至極当然な道理と言ってよい。
部品の規格数価が同じなら音は変わるまい、と思うのは、中央官庁の役人の発想と同じで、あくまでも、正しいのは理論上の事であって、現実とは程遠い事を、自作マニアなら知らぬ人はいないだろう。
前回も触れたが、だから修理に付いてもこれは同じ事が云えるので、類似の部品で修理しても元の音色は再現出来ない。
市場にはしかし、マランツ7やマッキンC22の古物がけっこう出回っており、何れも法外な高値である。だが、それが売れている。
昔美人だった100歳婆さんを「どうしても」と嫁に貰うに等しいこうした純情には、やはり決死の覚悟を必要とするだろうと僕などは思うが、元よりこういう事は嗜好の問題でもあるから、他人がとやかく口を出すことではない。
思うのだが、100歳婆さんに効く「甦り」の妙薬があって、それを飲めば、華も恥じらう乙女に返り咲くとでもいうなら、年齢など問題ではなかろう。
だが、そんな妙薬があるとは聞いた事が無い。
どうでもいいことだが、もしあるのなら、婆さんにではなく自分が飲んでいる。
部品が音を決めるのなら、件のアンペックスEQも、これは僕が勝手に部品を選んで組み立てたものだから、正確にオリジナルの音を再現したものではない。
従って、今誉め上げているこの音も、必然的に本物とは違う音を誉めている事になる。
が、僕はオリジナルの音を知らないから、組み上げたアンプの音さえよければ、その事はどうでも良い。
少々逆説的ながら、だからこそ、一度手にした、或いは耳にしたアンプを別の部品を使って再現しようとはせずに、初めて出会った回路で組み上げる事に楽しみを見出してきた。
そしてこういう事も云える。
このアンペックスEQも、オリジナルの音を聴いて、その音が気に入ったのなら、値段次第ながら、第一にその物の入手を試みるのであって、自分で組もうなどとは思わなかっただろう。
回路が骨格で部品が血肉なら、自分で部品を選定したこのEQの半分は僕のEQだという事になる。誰にもこの音は出せない筈で、それで良いのだと思っている。
ピアノの美音につられて、結局このEQのパスコンは外して、オリジナル回路に戻した。
何も親父某の言に負けたわけではない。今も言ったように、ピアノの音が余りにも美しいので、ピアノ専用としただけの事で、弦の再生には弦用のEQを新たに組むことにしたまでである。
40年ほど前に、S氏から貰った回路図を引っ張り出し、慎重に部品を選び、無いものは海外からも取り寄せて組み上げた。
奇跡的に、これは一発で決まり、弦は何処までも繊細に、オーケストラは迫力満点に仕上がった。
抵抗は、当時S氏から入手していたアーレンブラッドレイ中心とした。
アーレンの抵抗はバラツキが多いので、通常は使わないのだが、音の良さでは比類が無い。
厳密に数価の正確を期そうとするなら、一つひとつテスターを当てて、確認してから使うのが良いのでそうしたが、若干のバラツキなどさしたる問題ではないから、出来るだけ近い値で左右を揃える、という程度である。基から±5%の抵抗だから、ここらは大らかに構えても問題なしとして、そういう正確さよりも、音質を重視した。事実、問題は何もなかった。
初段カップリングコンデンサーは、スプラグビタミンQのチューブタイプの物を使ったが、出力コンデンサーは同じビタミンQでも、缶タイプの物をつかった。
音質に付いて、どうやらこれが決定打となったようだ。
このコンデンサーはボディーアースになっているので、取り付けるには若干神経を使い、シャーシーから浮かせて取り付けねばならないが、同じビタミンQでもチューブタイプと比べると音の木目の細かさや力強さに雲泥の差がある。と、僕はそのように聴いた。
カップリングは、以前他のアンプで、ブラックビューティー、ブラックキャット、チューブタイプのビタミンQ、ウェストカップとビタミンQとの合成、普通の缶タイプのオイルコン、マスタード等々、色々試してみた結果から、今回缶タイプのビタミンQに賭けてみたのだが、それが大当たりだったようだ。
試に出力コンを、上記の全てのコンデンサーを、とっかえ、ひっかえ、付け換えて、聴き比べてみたが、やはりこれが最も適していた。初段も同じ物があれば使おうと思っている。
フィルムコンは何れもクリアーで綺麗な音だが、硬質の傾向があり、普通の缶タイプは、柔らかくなり過ぎるようだ。合成ものは、音は綺麗だが若干力不足のきらいがある。
と云っても、それは、僕の音の好みであって、他者は違うかもしれない。ブラックビューティーや普通の缶タイプ、或いは合成ものが良い、という事になるかもしれない。それはそれで良いのだ。
今云った事は、偶々僕の耳が、缶タイプのビタミンQに落着いた、とういうだけのことで、各人、好みの分かれるところだろう。
S氏の回路は、貰った当時一度組んでみた事があって、その時はさしたる感動も無く、というより当時はRA1474が手元にあったから、造ってみたものの比較する気にもならず、直ぐにばらして、シャーシーだけ屋根裏に仕舞っておいたのだが、今改めて組み上げてみて、当時の記憶とは全く別次元の音に仕上がったのがどういう事なのかよく解らない。
40年ほど前の音の記憶だから、細部がいい加減なのは仕方ないとしても、大筋はしっかり記憶している。全然違うのである。
S氏の造る音に、悪い音というのは無いから、当時も、それなりの音が出ていた記憶は確かにあるのだが、それにしても、別物の鳴り方をするのだから、おそらく当時の造り方がいい加減で、結線など間違えでもしていたのだろう。
が、兎も角こうしてアンペックスEQとS氏回路のEQを使い分けることにしたが、アンペックスEQをピアノ専用にした事もあって、このところS氏EQの使用頻度が高い。
今更めくようだが、S氏の音の技術は、世界でも指折りではないかと僕は思っている。
序ながら、手持ちのカートリッジとの相性を言うと、アンペックスEQにはSPU-Aが良く、S氏EQにはELAC・ STS322が合うようだ。
無論、これも相対的な比較であって、レコードに依っては逆の場合もある。幸いアームは2本付いているので、使い分けは楽だから適宜組み合わせを変えて使っている。
これが旨く壺にはまった時の美音は得も言われない。
もうEQアンプはこれでよい。打ち上げとしよう。
こうやってEQアンプの音に拘ったのは、このブログの始めの頃に申し上げた通り、PCへの収録を始めたからであり、その目的は、ジジイ化がいよいよ進んで動けなくなった時、PCなら指先一本で操作可能だからであり、当然、ダビングをするのだから音質は劣化するので、その劣化が聴き分けられないくらい良い音で録音しておこう、という魂胆からであった。
収録を始めたのは3年前からである。
収録にはヘッドホンが必要なので、ゼンハイザーの、中の下クラスのものを買ったが、これがまんざらでもないのに驚き、今迄見向きもしなかったヘッドホンへの関心が俄かに高まって、もう少しグレードの高いものを求めようかと近頃思案して、某氏との雑談の中でその事を言ったら「ヘッドホンアンプを使うと格段に音が良くなる」と言う。
「全く別物の音になる」とも言う。
ならば、今聴いている、中の下クラスのヘッドホンが、もしかしたら、中の上か、上に、旨く行ったら、特上になるかもしれない。そしてならば、ヘッドホンアンプを造って、更に特上のヘッドホンを使えば一体どこまで音質の向上が得られるのか、と、助平根性の期待は一気に上昇して、「これは造らねばならぬ」と結論に至った。
だから、これは造ってみようと思う。
やってみなければ解らぬ事だが、凝ったものではなく、単純な回路が良い様な気がする。
まったく次から次へと切りの無い話だが、次第に終点に近付いてきているようだ。
何年後か、ジジイがポツリと一人音楽を聴いている。
そうした風情も悪くは無かろう。


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